UPS(無停電電源装置)の基礎知識|もしもの停電からパソコンを守ろう

突然の雷や停電、ブレーカダウンなど、パソコンにはあらゆる電源障害が起きる危険が潜んでいます。
急な停電が起きたときに焦らないためにも、パソコンやデータを守ってくれるUPSを事前に用意しておくことがおすすめです。
今回はUPSの詳細や使用目的、選び方など、UPSの基礎知識について詳しく解説します。

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UPS(無停電電源装置)とは?

デスクトップパソコンやサーバーなどのコンピュータ機器は、ノートパソコンやタブレットのようにバッテリーが内蔵されていないため、コンセントから供給されているAC電源(電力会社が供給する電力/商用電源ともいう)を使用しなくてはなりません。
そのため、雷や過電流遮断機(ブレーカ)の作動による停電などが起きると、パソコンの電源がいきなり切断されます。
電源障害が発生すると、作業中のデータをすべて失うだけでなく、ハードディスクにアクセスしている場合は、ハードディスクそのものにダメージを与えてしまいます。
また、接続しているネットワーク機器など、周辺機器にも大きな打撃を与えかねません。

USPとは、このような予期せぬ電源障害に対応できる機器のことです。
UPSとは略語で、正しくは「Uninterruptible Power Supply」と表記します。
「Uninterruptible」は「停止しない」という意味で、日本語に直訳すると「無停電電源装置」です。

UPSはその名のとおり、急な停電などのトラブルで電源障害が発生した際に、接続している機器に一定時間電力を供給し続けることができます。
急な電源障害が発生した際、安全にパソコンをシャットダウンし、データや機器を保護することを目的とした装置がUPSです。
UPSを利用することで停電などの電源トラブル時も継続してパソコンを使用できますが、それほど長時間の操作が可能なわけではない点には注意しましょう。

▼家庭用UPSUPS(無停電電源装置)とは?-1引用:オムロン 無停電電源装置(常時商用給電/正弦波出力) 500VA/300W BY50S/BY35S

▼サーバー用UPSUPS(無停電電源装置)とは?-2引用:APC Smart-UPS 3000 LCD 100V

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UPSの動作原理

AC電源とコンピュータ機器の間にUPSを経由することで、安定した電源供給が可能となります。
AC電源は交流ですが、UPSはその交流を直流に変換する機器です。
直流に変換された電流は、UPS内部の蓄電池に蓄えられます。

UPSの動作原理引用:東芝インフラシステムズ株式会社

通常時はAC電源からコンピュータ機器へそのまま電力を送りますが、停電やAC電源の電圧低下などのトラブルの際は、UPSの蓄電池に蓄えられた電力を直流から交流に変換し、供給するように切り替えを行います。
UPSの蓄電池に電力の蓄えがあるうちは電力供給が可能となり、電源障害時に急な電源切断を避けることができるという仕組みです。

UPSの基本構成

UPSは種類にもよりますが、基本的には以下の4つの装置で構成されています。

UPSの基本構成引用:東芝インフラシステムズ株式会社

  • コンバータ(順変換器)
    電力の変換を行う装置で、交流から直流へ変換を行います。
    AC電源を蓄電池へ送るための変換です。
  • インバータ(逆変換器)
    電力の変換を行う装置で、直流から交流へ変換を行います。
    蓄電池から機器の電源へ送るための変換で、コンバータの変換とは逆の変換を行います。
  • 蓄電池
    停電や電圧低下などの電源トラブルが発生した際に、接続した機器へ充電した電力を供給するための装置です。
    電源トラブル時はあらかじめ蓄電池に充電された電力を放電します。
  • 無瞬断切換スイッチ
    電源障害時に、AC電源と蓄電池の供給を切り替えるスイッチです。
    切り替え時に一瞬でも電力の供給が損なわれてしまうと、パソコンやサーバーは電源がおちてしまうため、無瞬断で切り替えることが可能になっています。

UPSの種類

UPSの原理は基本的にはどれも同じですが、電力の供給の仕方によっていくつか種類があります。

  • 常時商用給電方式
  • ラインインタラクティブ方式
  • 常時インバータ給電方式

詳しい内容について、以下で解説します。

常時商用給電方式

通常時は、AC電源からコンピュータ機器に直接電力の供給を行いながら並行して交流を直流に変換し、蓄電池に電力を蓄う方式です。
電源に異常が発生すると蓄電池からの供給に切り替わり、その際に瞬断(一瞬の停電のこと)が発生しますが、パソコンやサーバーではほとんど問題にならないレベルとされています。
また、消費電力が少ないという点も特徴のひとつです。

常時商用給電方式引用:株式会社エム・システム技研 MST

ラインインタラクティブ方式

常時商用給電方式と基本的な構造は同じですが、通常時の電源はAC電源から直ではなく、電圧を調整するAVR(Automatic Voltage Regulator/電圧安定化)機能を介して供給されます。
電圧を変換するトランスを経由することで電圧を100ボルトに近づけて調整することができ、電圧の安定供給を図ります。
高機能のUPSですが、価格はそれほど高額にならない点が特徴です。

ラインインタラクティブ方式引用:株式会社エム・システム技研 MST

常時インバータ給電方式

通常時にコンピュータ機器に供給される電力がインバータを介する方式です。
電圧が調整され、電源に含まれるノイズも取り除かれるため、非常に安定した電力の供給が可能となります。
また、蓄電池から供給に切り替わる際に、常時商用給電方式のような瞬電が起きることもありません。

常時インバータ給電方式引用:株式会社エム・システム技研 MST

常時インバータ給電方式には高効率の給電方式もあり、通常の常時インバータ給電方式と仕組みは若干異なります。
高効率方式は通常運転時にインバータを介しませんが、AC電源と同期を行いながら電圧の状況に応じて昇圧・降圧をおこなうため、安定した電圧の給電が可能です。
必要な場合のみ電圧の変換が行われることで高効率となっています。

UPSの必要性

日本国内における電力供給は電圧が非常に安定しているため、電圧低下などによるトラブルはほとんど見られませんが、必ずしも電源障害が起きないとはいい切れません。
万が一、電圧低下になるような状況が発生すれば、過電流遮断機(ブレーカ)が動作し、電力供給が遮断されてしまいます。
こうした状況を避ける目的で、主に停電時などの電力確保のためにUPSの必要性が高まっています。

近年はほとんどの企業においてIT化が進んでおり、コンピュータ機器が当然のように導入されています。
さらにインターネットを利用し、クラウドストレージやNAS(※)を使用して業務を行っている会社も多く、電源障害が発生することで業務に大きな影響を与えかねません。
機器やデータに障害を与えてしまうと、復旧にはかなりの時間を要することとなり、会社にも大きな損害を与えることが考えられます。

※「Network-Attached Storage」の略語で、ネットワークに接続して使用するハードディスクのこと。

たとえば工場などの生産ラインでは、瞬間的に電圧が低下するだけでシステムが停止し、不良品を発生させたり設備を破損させたりする恐れもあります。
また、通信販売などWebサーバーなどを使用した外部からのアクセスを業務の一部としていると、影響がかなり大きくなることが考えられます。

こうしたリスクを考えると、UPSは企業にとって欠かせない装置といえるでしょう。
たとえ電源トラブルが発生しても、正常にシャットダウンできれば、データや機器に破損を与えることはありません。
データ復旧の必要もなく、電源が復旧した際にパソコンやサーバーを起動させるだけで済むため、起き得る損害を最低限に抑えられます。

UPSの必要性

UPS(無停電電源装置)の使用目的

テレビや照明などの家電機器に急な停電が発生した場合、一時的に電源が切れて使用できなくなりますが、停電から復旧するとすぐに電気が点いたり、電源を入れなおすことで使用できるようになります。
しかし、コンピュータ機器の場合は、停電時にどのような操作をしていたかによって復旧後の影響が変わってきます。
作業中であればデータが破損してしまうため、作業のやり直しを求められます。
バックアップがあれば復旧も可能ですが、規模によっては長時間パソコンが使用できなくなることも考えられるでしょう。

このような突然のトラブルから、大切なデータや機器を守る目的でUPSを使用します。
UPSは電源障害時でも安定した電力を供給し続け、安全にシャットダウンできるため、データ保護の必要性が高い会社や個人ユーザーが導入するケースが多いようです。

ただし、UPSを使用する際は注意が必要です。
ノートパソコンの内臓バッテリーのように外部電源が遮断されても通常使用できるのではなく、あくまでも正常なシャットダウンのための時間稼ぎと考えて使用しなくてはなりません。
UPSの容量によって電力供給時間は異なりますが、あくまでも緊急用の一時的な電力供給と考えて使用することが必要となります。
UPSによって何時間も使用できるものもありますが、企業が抱えるサーバーやパソコンの数を考えた場合、高性能なUPSを選択すると膨大なコストが必要になるのはいうまでもありません。

UPS(無停電電源装置)で優先的に保護すべき機器

UPSの使用目的がデータ保護のため、パソコンやサーバーはもちろん、外付けのハードディスクやNASなども優先的に保護しなくてはなりません。
NASなどのネットワークを経由した機器を使用している場合、LANのハブやルーターなどの機器も保護しないと接続がなくなってしまい、記憶領域を損傷する恐れがあります。
特に大型のハードウェアを導入している会社では、取り返しのつかない事態を招きかねないため、価格帯を考慮し、パソコンやハードディスクなどストレージ系の機器を優先して保護するようにしましょう。UPS(無停電電源装置)で優先的に保護すべき機器

反対に、UPSに接続してはいけない機器とは?

どんな機器でもUPSに接続しておけば電源を確保できますが、機器によっては接続してはいけない場合もあります。
接続NGの代表ともいえる機器が、レーザープリンタです。
ピーク時の消費電力が1000ワットを超えるほど高く、接続するとUPSを故障させる可能性があります。
同様にコピー機や電気ヒーターなど、瞬間消費電力が高い機器も接続してはいけません。

UPSに接続してはいけない機器類は、以下のとおりです。

  • レーザープリンタ
  • コピー機
  • 冷蔵庫
  • エアコン
  • 電気ヒーター
  • トランス・半波整流器
  • モーター、コイル内蔵(ドライヤや掃除機など)の機器
  • 人体・生命に影響を及ぼす恐れのある医療機器の制御
  • 高度な信頼性を要求される原子力
  • 航空宇宙機器等の制御
  • 工作機械の制御
  • 交通機関(電車や車など)の制御や管制

UPS(無停電電源装置)の選び方

UPSの選択において重要になる点は、次のとおりです。

  • 消費電力
  • 駆動時間

消費電力

UPSを選ぶうえで大切なのが、まず消費電力です。
接続する機器の消費電力を合計(※)し、それをカバーできるUPSを選択しなくてはなりません。
※消費電力の最大構成時や通常時などの表記がある場合は、最大値で計算します。

接続する機器類の合計値の1.2~1.3倍程度のUPSを選択するようにしましょう。

駆動時間

次に駆動時間を考えます。
パソコンのシャットダウンだけなら5分もあれば十分ですが、停電時に作業の必要性がある場合、一定時間が求められます。
駆動時間が長いほど便利ですが、その分だけUPSの価格も高額になるため、購入前にどの程度の時間が必要か目安を決めておくことが大切です。
最低でもシャットダウンまでの駆動時間を考慮し、UPSを選びましょう。

UPS(無停電電源装置)を利用する際の注意点

UPSは単にAC電源に接続すれば良いわけではありません。
消費電力が大きいため、利用するうえで守らなければならない注意点がいくつかあります。

UPS(無停電電源装置)を利用する際の注意点

たこ足配線をしない

電源タップなどは使用せず、直接コンセントに接続します。
たこ足配線は避け、アース線も必ず接続してください。

たこ足配線をしない

引用:I-O DATA ビジネスNAS入門 UPS(無停電電源装置)

電源容量を守る

接続する機器の合計の電源容量が、仕様を超えないようにしましょう。
電源を入れたときや瞬間的に大きな電流が流れる機器は、UPSを故障させてしまう原因となるため要注意です。

電源容量を守る引用:I-O DATA ビジネスNAS入門 UPS(無停電電源装置)

定期的にバッテリーを交換する

UPSのバッテリーは、電力供給がなくとも、経年劣化により徐々に持ち時間が短くなってきます。
交換目安を過ぎたバッテリーを使い続けていると、いざというときに必要な電力が供給できない場合もあるため、定期的にバッテリーの交換が必要です。
通常タイプのUPSで、1〜3年程度を交換目安にすると良いでしょう。

定期的にバッテリーを交換する引用:I-O DATA ビジネスNAS入門 UPS(無停電電源装置)

まとめ

UPSの基礎知識についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
UPSは突然の停電などから大切なデータを守れるため、サーバーを設置している会社のほとんどで導入されています。

UPSを設置していないと、雷などの急な停電でデータやパソコンが破損する可能性が高く、被害を受けた場合はパソコン修理業者へ修理を依頼しなくてはなりません。

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かない@パソコン博士
パソコン博士。株式会社ケイ・ブリッジ パソコン修理担当。5歳の時に買い与えられたファミコンに興味を持ち、小学校では分解・組み立てて遊んでいた。中学校ではコンピューター部にも所属し、自分でテレビゲームを作ることに成功。大学では情報系学部に所属、研究室グループで開発された分析ソフトは経産相(当時通産省)での利用が決定。Googleが主催するビジネスコンテストの世界大会出場、大阪経済戦略局のIotプログラム選出、組み込み系デバイスの開発チーム参加、企業向けのパソコン講座講師を務めている。