パソコンは法令によってリサイクル方法が指定されている機器であるうえ個人情報など重要なデータが入った機器でもあるため、処分の際には注意が必要です。
今回はパソコンリサイクルについて、
- パソコンリサイクルとは何か
- 「資源有効利用促進法」に基づくリサイクルの方法
- 「小型家電リサイクル法」に基づくリサイクルの方法
- パソコンリサイクルの際の注意点
を解説します。
目次
パソコンリサイクルとは
パソコンはリサイクルやリユースが法律で推進されています。
そのため、一般ごみとして自治体に回収してもらえず、勝手に捨てた場合には廃棄物処理法によって罰せられる可能性があります。
法律でリサイクルが推進されている理由としては、都市鉱山*の有効活用やごみの減量、また環境保全といった目的があるためです。
また不正なデータ利用や海外への不正輸出、不適正処理による環境処理を防止する効果もあります。
パソコンリサイクルについて定めた法律としては、以下の2つがあげられます。
- 資源有効利用促進法
- 小型家電リサイクル法
都市鉱山とは、都市でゴミとして廃棄される家電製品やパソコンなどに含まれる資源を鉱山に見立てて称した言葉です。
資源の中には鉄やアルミのほかに金や銀や銅も含まれ、都市鉱山の観点からすると日本は世界有数の資源国といえます。
【参考】環境省
「資源有効利用促進法」に基づくリサイクル
資源有効利用促進法に基づくリサイクルでは、メーカーによる使用済みパソコンの回収・リサイクルが義務づけられています。
国の認定を受けたパソコンメーカーが回収からリサイクルまで行うため、安心してパソコンを処分できます。
工程の中にはハードディスクの破壊なども含まれており、情報漏えい防止の仕組みがある点も安心できる点といえるでしょう。
対象品目
資源有効利用促進法に基づくリサイクルでは、以下の機器が回収・リサイクルの対象です。
- デスクトップパソコン本体
- ノートブックパソコン
- CRT(ブラウン管)ディスプレイ
- 液晶ディスプレイ
- CRT(ブラウン管)ディスプレイ一体型パソコン
- 液晶ディスプレイ一体型パソコン
パソコン周辺機器の回収・リサイクルについて
マウスやキーボードなどの標準添付品については一緒に回収してもらえますが、プリンターやスキャナー、ワークステーションやゲーム機などは対象とならない点には注意が必要です。
対象品目の詳細については一般社団法人パソコン3R推進協会のホームページをご確認下さい。
料金
資源有効利用促進法に基づくリサイクルでは、各メーカーによって製品種別ごとに料金が設定されています。
支払先は各メーカーであり、支払方法にはクレジットカード決済や郵便振替、コンビニエンスストア振込などがあります。
2003年10月以降に小売販売されたPCリサイクルマーク付きのパソコンは無料回収の対象となっていますが、メーカー等不在パソコン*はPCリサイクルマーク付きであってもパソコン3R推進協会の定める回収・再資源化料金が必要です。
リサイクル料金の例としては、認定メーカーの1つである富士通の場合デスクトップパソコン本体で3,300円/1台、CRT(ブラウン管)ディスプレイで4,400円/1台となっています。(それぞれ税込表記)
【参考】富士通 富士通パソコンリサイクル
なお機器の回収にはゆうパックが使われますが、回収・再資源化料金には回収物流費用なども含まれているため別途ゆうパック料金を支払う必要はありません。
メーカー等不在パソコンとは、個人輸入したパソコンや自作パソコンを指します。
また倒産メーカーや事業撤退メーカーのパソコンもメーカー等不在パソコンにあたります。
回収・リサイクルの流れ
資源有効利用促進法に基づくリサイクルでは、以下の流れで回収・リサイクルが行われます。
①~③までが個人に必要な手続きです。
- 「製品カテゴリー」や「型番」、「PCリサイクルマークの有無」など対象機器の確認
- 対象機器メーカーまたはパソコン3R推進協会に申し込み
- エコゆうパック伝票の受け取り、梱包、郵送手続き
- 筐体、基盤、HDDなどパーツごとに分解、分別
- 金属部品やプラスチック部品の再資源化
- 製品材料などとして再利用
「小型家電リサイクル法」に基づくリサイクル
小型家電リサイクル法に基づくリサイクルでは、一部認定事業者や市区町村でのパソコン回収・リサイクルが定められています。
家電製品のリサイクルについては「家電リサイクル法」によってテレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫洗濯機・衣類乾燥機の4品目が対象とされていましたが、「小型家電リサイクル法」ではパソコン、携帯電話、電子レンジなど、これまで対象となっていなかったほとんどの家電が対象となっています。
環境省や経済産業省によって認定された事業者や市区町村によって回収・リサイクルが行われるため、資源有効利用促進法に基づくリサイクル同様安心して任せることができます。
対象品目
小型家電リサイクル法に基づくリサイクルでは、以下の機器が回収・リサイクルの対象となっています。
資源有効利用促進法に比べて対象品目がパソコンに限定されませんが、ここではパソコン関連品に絞って紹介します。
- デスクトップパソコン
- ノートブックパソコン
- ディスプレイ(液晶、CRT)一体型パソコン
- タブレットパソコン
- ディスプレイ(液晶、CRT)
- マウスやキーボード、パソコンパーツ、ケーブルなどの周辺機器
小型家電リサイクル法の対象品目について
小型家電リサイクル法ではプリンターやスキャナーなども含めて幅広い機器が回収・リサイクル対象となっていますが、家電リサイクル法の対象となっている4品目やストーブなどは対象外となっています。
また各事業者や市区町村によって対象としている機器が異なる点にも注意が必要です。
対象品目の例としては、認定事業者であるリネットジャパンのホームページをご確認下さい。
料金
小型家電リサイクル法に基づくリサイクルでは、各認定事業者や市区町村によって料金が設定されています。
支払先は各認定事業者や市区町村であり、支払方法にはクレジットカード決済のほか、現金支払い(持ち込みの場合)、代引き(郵送の場合)などがあります。
リサイクル料金の例としては、認定事業者の1つであるリネットジャパンの場合、パソコン本体を含む回収であれば1箱無料、パソコンを含まない場合や2箱目からは1,650円/箱となっています。(税込表記)
【参考】リネットジャパン よくあるご質問
回収・リサイクルの流れ
小型家電リサイクル法に基づくリサイクルでは、以下の流れで回収・リサイクルが行われます。
①~④までが個人に必要な手続きとなります。
- 対象機器の確認
- 申し込み(リネットジャパンを利用する場合)
- 梱包、郵送手続き(リネットジャパンを利用する場合)
- 市区町村や認定事業者への持ち込み、または佐川急便へ引き渡し
(佐川急便への引き渡しはリネットジャパンを利用する場合) - 筐体、基盤、HDDなどパーツごとに分解、分別
- 金属部品やプラスチック部品の再資源化
- 製品材料などとして再利用
パソコンリサイクルの注意点
都市鉱山の活用や環境保全につながるパソコンリサイクルですが、利用する際は以下のような注意点があります。
- 確実にデータを消去する
- 梱包方法と回収方法をしっかりと確認する
- 無許可の回収業者に気を付ける
確実にデータを消去する
パソコンリサイクルの際は、確実にパソコン内のデータを消去するようにしましょう。
いずれのリサイクル方法においてもHDDの破壊など情報漏えい防止の工程はありますが、回収前のユーザーによるデータ消去が求められます。
データの完全な消去方法は専用ソフトウェアによる消去や消磁装置による消去などがありますが、認定事業者によってはホームページでデータ消去手順を公開していたり、データ消去をオプションサービスとして用意している場合があります。
ハードディスクの物理的破壊について
データの完全な消去方法としてハンマーなどでハードディスクを物理的に破壊する方法がありますが、ケガの危険性があるため個人では行わないようにしましょう。
梱包方法と回収方法をしっかりと確認する
パソコンリサイクルの梱包や回収は、各法律や各回収先所定の方法で行う必要があります。
小型家電リサイクル法では複数機器を同時に梱包しても良い一方、資源有効利用促進法では機器を1台ずつ梱包するなど違いがあります。
無許可の回収業者に気を付ける
パソコンリサイクルは認定事業者もしくは市区町村によって行われるため、無許可の回収業者を利用しないように気をつけましょう。
街中を巡回しているトラックや不用品回収のチラシを配布している業者など無許可回収業者の例として挙げられます。詳細については環境省のホームページをご確認下さい。
パソコンのリサイクル方法:まとめ
今回はパソコンリサイクルについて、「資源有効利用促進法」と「小型家電リサイクル法」を紹介したうえで具体的な方法や料金、注意点を解説しました。
都市鉱山の活用や環境保全につながる取り組みですが、データ消去などの不安が拭いきれない時はパソコン修理業者にパソコンリサイクルやデータ消去を依頼しましょう。
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※1 2023年8月末時点 日本PCサービス株式会社調べ
※2 2021年11月時点 2万6303人調査 調査主体:日本PCサービス株式会社 調査実施機関:株式会社インテージ
パソコンを処分する際は正しい手続きで処分しなければならないことをご存じでしょうか?