【前編】年々巧妙化するワンクリック詐欺の手口とは?被害に遭うとどうなる?

インターネットの普及により、パソコンやスマートフォンなどからSNSや動画、ショッピングなどインターネットを楽しんでいる人も多いと思われますが、一方でパソコンを利用する頻度が高い人ほどトラブルに遭うリスクも高くなります。
ウイルスなどのマルウェアに感染するとパソコンから個人情報が漏洩したり、予期せぬ犯罪に巻き込まれてしまう場合があります。

サイトを見ようとクリックしただけなのに、いきなり請求画面が表示される「ワンクリック詐欺」もインターネット上で蔓延している犯罪行為のひとつです。
今回はワンクリック詐欺とはどのようなものか、もしも被害に遭った場合どうなるのかなど、ワンクリック詐欺の基本知識について詳しく解説します。

パソコン利用で注意すべき『ワンクリック詐欺』とは

ワンクリック詐欺とは、実際に利用していないサイトなどの利用料金を請求する「ネット詐欺」のことです。
ボタンやリンクを1回クリックするだけで詐欺に遭うことから、「ワンクリック詐欺」と呼ばれています。

サイト上に表示されている広告やサンプル視聴用ボタン、勧誘メールのリンクや画像をクリックすると、「登録完了」を示すメッセージとともに「請求金額」が表示されるのが、ワンクリック詐欺のよくある手法です。
メッセージにはIPアドレスや、スマートフォンであれば機種名なども表示されるため、個人を特定されたと焦ってしまいますが、実際にはサーバー上から個人情報を割り出すことはできません。

最近ではワンクリックどころかゼロクリック詐欺や、ツークリック・スリークリックで契約の同意を求める巧妙なネット詐欺も増えています。

ワンクリック詐欺の現状

2016年にIPA独立行政法人情報処理推進機構に寄せられたワンクリック詐欺の相談件数は2292件で、全体の相談件数の約4分の1を占めています。
年々被害件数は減少傾向にありますが、ワンクリック詐欺の相談件数の半数を超える1249件が実際の被害に遭っています。

2009年から2011年にかけて相談件数の増減幅が大きいのは、2011年7月に施工された「不正指令電磁的記録に関する罪(コンピュータウイルスに関する罪」)」が不正プログラムの埋め込みに対するけん制となり、翌2012年に警察が同法を適用して相次いで業者を摘発したことが大きな抑止力となったことから、2012年以降は相談件数も年々減少傾向にあります。


引用:IPA独立行政法人情報処理推進機構/IPA情報セキュリティ安心相談窓口に寄せられた相談の分析(2016年)

ワンクリック詐欺の場合、アダルトサイトでの被害が多いことから男性からの相談の割合が高く、およそ7割を占めています。


引用:IPA独立行政法人情報処理推進機構/IPA情報セキュリティ安心相談窓口に寄せられた相談の分析(2016年)

また、2019年に国民生活センターに寄せられた「アダルト情報サイトに関する相談」件数は、9548件となっています。


引用:独立行政法人国民生活センター

ワンクリック詐欺の手口・誘導経路

さまざまなタイプのワンクリック詐欺がありますが、主な手口は以下のとおりです。

  • 電子メールのリンクから誘導
  • ダウンロードしたアプリケーションから誘導
  • 検索サイトから誘導
  • 動画再生ボタンから誘導
  • 利用規約や年齢認証ボタンから誘導
  • 詐欺サイト画面の退会相談窓口から誘導
  • 閉じるボタンから誘導

電子メールのリンクから誘導

いわゆる迷惑メールとして送られてくるものが多いですが、アダルトサイトや出会い系サイトなどの運営を名乗り、ユーザーの興味をそそります。
本文にメッセージとURL、または文章や画像に詐欺サイトのリンクが貼られており、クリックするとサイトにアクセスし、登録完了や請求金額などの画面が表示されます。
メールはランダムで送信されてきますが、頻繁に大量の詐欺メールが送られてくる場合、悪質な業者間で自分のメールアドレスがやり取りされている可能性が高まります。

ダウンロードしたアプリケーションから誘導

ユーザーにとって利便性の良いアプリケーションを装い、ダウンロードを促すワンクリック詐欺もあります。
ダウンロード後にアプリケーションを起動すると、「有料登録が完了しました。」などのメッセージとともに詐欺サイトが開く仕組みです。
登録した覚えがないにも関わらず、「アプリケーションをインストールしたため支払わなくてはならない」といったユーザーの心理を利用した詐欺です。

アプリケーションには有料と無料のものがあるため、無料のアプリケーションをダウンロードする人も多いですが、提供元が不明な場合は詐欺に遭うリスクを伴うことを理解しておきましょう。

検索サイトから誘導

普段使用している検索サイトからでも、ワンクリック詐欺に遭う可能性は潜んでいます。
通常どおり検索し、上位に表示されたサイトは安心できると思ってクリックすると、詐欺サイトにアクセスする場合があります。

上位に表示されているサイトだからといって、必ずしもそのサイトが安全であるとは限りません。
また、サイトによってはリンクをたどって転々とさせられ、最終的に表示されたサイトでワンクリック詐欺が行われることもあります。


引用:IPA独立行政法人情報処理推進機構

動画再生ボタンから誘導

無料動画を提供しているサイトでは、動画の再生ボタンを押して閲覧を開始します。
悪意のあるサイトの動画では、再生ボタンからワンクリック詐欺サイトに移動するよう仕組まれていることも少なくありません。
より悪質な詐欺サイトになると、再生ボタンからプログラムをインストールするように促し、そこでマルウェアに感染させるケースもあります。

▼サイト実例

引用:IPA独立行政法人情報処理推進機構

利用規約や年齢認証ボタンから誘導

表示した詐欺サイトによって、利用規約への同意や年齢認証の承認を求めてくることがあります。
年齢認証の承認ボタンを押すと、いきなり「登録完了」の請求画面が表示されるパターンの詐欺です。

同意や承認はチェックボックスで、最終的に年齢認証や利用規約のボタンを押しますが、実はサイト内に見にくい色や小さな文字で有料であることが書かれており、それを落ち度として支払いを求める手口です。

▼サイト実例

引用:IPA独立行政法人情報処理推進機構

詐欺サイト画面の退会相談窓口から誘導

ワンクリック詐欺では、最初のクリックのタイミングで請求画面を表示しない場合もあります。
まず最初に「有料会員登録が完了しました。」などのメッセージを表示しますが、サイト内に退会相談の窓口が用意されており、その窓口のリンク先や連絡先が詐欺サイトにつながっています。
「意図せず有料会員となってしまったため、すぐに退会しなければいけない」というユーザーの心理につけこんだ詐欺手口です。

▼サイト実例

引用:ノートン

閉じるボタンから誘導

ワンクリック詐欺では、Webサイトやバナー(広告表示の画像)の閉じるボタンに仕掛けられているケースもあります。
表示された請求画面を無視して閉じるボタンを押すと、業者側に情報が送信されるよう仕組まれています。

ちなみにスマートフォンでは、閉じるボタンに電話を掛ける機能が仕掛けられている場合も多いようです。
番号の先頭に186を付加して電話をかけるように仕組まれており、業者に電話番号が伝わってしまい、あとから電話で請求してきます。
ほかに閉じる方法がない場合はブラウザごと終了させ、検索履歴からも消去するようにしましょう。

ワンクリック詐欺に遭うとどうなる?

もしもワンクリック詐欺に遭うとどうなるか、主な特徴について以下に説明します。

  • いきなり登録完了と請求金額が表示される
  • ページを閉じても請求画面が表示される
  • 登録完了画面に自分のIPアドレスが表示される
  • 毎日請求の電話やメールの連絡がくる

いきなり登録完了と請求金額が表示される

サイトを閲覧している最中に、いきなり以下のような登録完了画面が表示されます。

  • 「手続きが完了しました。〇日以内に支払いがない場合、延滞料金○○円をお支払いいただきます。」
  • 「ご登録ありがとうございます。無事登録は完了しました。2日以内に○○円をお支払いください」

最終確認がなかったり、いきなり延滞料金の案内や法的措置について表示されている場合、まず詐欺サイトであると考えて良いでしょう。

▼サイト実例

引用:IPA独立行政法人情報処理推進機構


引用:ノートン

ページを閉じても請求画面が表示される

ワンクリック詐欺に遭った場合、請求画面を何度閉じても繰り返し表示される場合があります。
詐欺サイトで無料動画を再生する場合、手続きの案内に従いボタンをクリックすることも多いですが、その際に請求画面を表示するプログラムを自らダウンロードまたは実行させられており、請求画面を何度閉じても消えない状態になります。

登録完了画面に自分のIPアドレスが表示される

詐欺サイトの多くは登録完了の表示と併せて、ユーザーのパソコンのIPアドレスや機種名などを表示してきます。
そのため、自分の個人情報が流出したと焦ってお金を振り込んでしまうケースも多いですが、実際にはこうしたデータはWebサイトへアクセスする場合の自動送信情報で、住所や電話番号など実際の個人情報を特定できるものではありません。

毎日請求の電話やメールの連絡がくる

ワンクリック詐欺によって入手した情報を、業者に送信するプログラムを組み込んでいる詐欺サイトもあります。
情報を受信した業者は入手したメールアドレスや電話番号に対し、執拗に請求メールを送り付けたり電話をかけて支払いを求めます。

そもそもワンクリックの契約は法的拘束力はあるの?

電子消費者契約法第3条「電子消費者契約に関する民法の特例」では、契約までのステップで「内容の確認・訂正」ができない場合、契約は無効としています。


引用:ノートン

また、特定商取引法第14条の「顧客の意に反して契約の申し込みをさせようとする行為の禁止」では、ボタンクリックが有料申込になると表示していない場合と、内容の確認・訂正ができないことを禁止しています。
第11条では「広告の表示義務」が定められており、販売価格などの諸条件を表示する義務があります。


引用:ノートン

ワンクリック詐欺の場合、上記条件を満たしていないことから、そもそも契約そのものが成立していないため、被害に遭った場合でもお金を支払う義務はありません。

その法的根拠について、以下に解説します。

  • 契約自体が成立していない
  • 契約方法が違法である
  • 申込み前の確認をしていない
  • 最終画面で契約を取り消す確認画面がない

契約自体が成立していない

契約を成立させるためには、以下が必要です。

申込者の意思表示
・承諾側の意思表示
・両者の意思表示の合致

申込者が自分の意志でこういうことをしたいとサイト側に示さない限り、ワンクリックしたからといって契約は結ばれていません。
一方的にワンクリック詐欺サイト側が「登録完了。金額を振り込んでください。」などの請求をしても、この時点では何の契約も成立していません。

契約方法が違法である

ワンクリック詐欺の場合、請求画面に到達するまでの間に有料サービスであることが表示されておらず、極端に分かりにくい表示がほとんどのため、利用者が正しい契約内容をきちんと把握できないまま申込みを行っています。
意思表示の内容と自分が思っていた内容が違うことを「錯誤」といいますが、ワンクリック詐欺のように有料サービスだと分からないまま登録した場合、「錯誤による契約」となり契約方法そのものが無効であると主張できます。

申込み前の有料確認をしていない

ボタンクリックによる契約の場合、ボタンのクリックが有料契約の申込みであることを表示しなくてはなりません。
料金を表示している場合でも、クリックすることで申込みになると分かりやすく表示する必要があります。
このような表示は特定商取引法の広告表示義務で定められていますが、ワンクリック詐欺の場合、曖昧な表記を使用していることから契約は成立しません。

最終画面で契約を取り消す確認画面がない

インターネットで有料のサービスや商品を販売する場合、契約内容を表示し、最終画面で確認することが電子消費者契約法で定められています。
ユーザーの操作ミスにより誤って契約をすることを防ぐため、サイト側が最終確認を行わなくてはなりません。
ワンクリック詐欺サイトでは最終確認画面も表示されないため、契約は無効になります。

まとめ

ワンクリック詐欺の情報についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
もしも誤ってワンクリック詐欺サイトを表示させた場合、無視が一番です。
対処法について詳しくは、ワンクリック詐欺後編でお伝えします。

【後編】いきなり画面に請求金額が……ワンクリック詐欺に遭った場合の対処法を解説!

2020年4月25日

しかし、ワンクリック詐欺の中にはウイルスを忍び込ませたり、プログラムをダウンロードさせるケースもあるため、パソコンにトラブルが発生した場合はすぐにパソコン修理業者に連絡しましょう。

ドクター・ホームネットは詐欺サイトによるウイルス感染のサポートを行っており、ウイルス駆除からセキュリティソフトのインストールまで対応してくれます。
ウイルス感染したパソコンをそのままにしていると、個人情報の流出だけでなくほかのパソコンへの感染を広げる原因にもなりかねないため、早急にドクター・ホームネットに相談してみてください。

【ドクター・ホームネット編】料金や口コミは?気になるパソコン修理業者を徹底調査!

2019年11月6日

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ABOUTこの記事をかいた人

パソコン博士。株式会社ケイ・ブリッジ パソコン修理担当。5歳の時に買い与えられたファミコンに興味を持ち、小学校では分解・組み立てて遊んでいた。中学校ではコンピューター部にも所属し、自分でテレビゲームを作ることに成功。大学では情報系学部に所属、研究室グループで開発された分析ソフトは経産相(当時通産省)での利用が決定。Googleが主催するビジネスコンテストの世界大会出場、大阪経済戦略局のIotプログラム選出、組み込み系デバイスの開発チーム参加、企業向けのパソコン講座講師を務めている。