NECの調査によると、普段パソコンを使用しているユーザーの4割以上が4時間以上の使用時間であるという結果が出ています。
参考:NEC 121ware 仕事に趣味に…あなたは毎日何時間パソコンに向かってる?
使用時間が長くなればなるほど、パソコンをシャットダウンするのが億劫に感じるものです。
とはいえ、電源を入れっぱなしにしておくのも、パソコンにダメージを与えそうで不安に感じますよね。
今回は、パソコンをシャットダウンしないとどうなるか、メリット・デメリットなどと併せて解説します。
目次
そもそもパソコンのシャットダウンとは?
シャットダウンは「計算機の停止」を意味する言葉で、パソコンだけでなく原子炉などにおいても使用されることがあります。
Windowsで実行するシャットダウンは、以下の一連の流れを実行することを指します。
- 作業中のファイルを保存
- 起動中のアプリを終了
- メモリの内容をディスクに退避
- Windowsを終了
- 接続している周辺機器やネットワークの切断
- 電源を切断
パソコンは、実際には使用していなくても内部で動いているプログラムがあるため、いきなり電源を切ってしまうとファイルが破損したり、場合によってはハードウェアが障害を発生し、故障を引き起こす恐れがあります。
いきなり電源を切断すると異常終了とみなされ、次回起動時にシステムの修復やシステムの不都合の確認などが行われるため、起動に時間がかかることがあるようです。
このようなトラブルを防止するため、開いているファイルを閉じ、起動しているプログラムを終了させるなど事前の処理を行い、正しくシャットダウンを実行しなくてはなりません。

パソコンをシャットダウンするユーザーは約7割
節電を第一に考えるなら、パソコンを使用していない際にはシャットダウンを行い、電源オフの状態にしておくのが理想的です。
しかし、一度シャットダウンを実行すると起動するまでに時間を要するため、不満に感じている人も多いようです。

実際に2017年のNECPCの調査によると、起動が遅いことに不満を抱くユーザーが全体の8割を占めていました。引用:マイナビニュース 7割の人がシャットダウン? NECがPCの高速起動にこだわる理由
パソコンをシャットダウンすると、次回起動時には電源を入れてシステムを読み込む必要があるため、起動に時間がかかります。
また、前回の作業の続きを行える状態を整えるまでにも時間が必要です。
パソコンを短時間で元の状態に復帰させ、作業できる状態を再開するために、シャットダウンを実行せず、スリープ機能や休止状態などを活用する方法があります。
スリープや休止状態のパソコンは、若干の電力を消費するもののすばやく元の状態に戻れるため、起動時間もかからず、すぐに続きの作業に取りかかれます。
スリープの場合、現在の状態をメモリに書き込み、解除する際にメモリから読み出しを行うため、高速アクセスが可能です。
ノートパソコンであれば、画面を閉じるとスリープ状態に自動移行する設定もできます。
このような便利な機能があるにも関わらず、パソコンを使用していないときにシャットダウンを実行しているユーザーは全体の7割近く存在すると、NECPCの2015年の調査で明らかになっています。
参考:マイナビニュース 7割の人がシャットダウン? NECがPCの高速起動にこだわる理由
Windows10のシャットダウンは2種類
シャットダウンを実行すると電源オフの状態になりますが、実はWindows8から2種類のシャットダウンが提供されているのをご存じでしょうか。
完全に電源をオフにする従来のシャットダウンに加えて、一部の機能を保持したままWindowsを終了させる、以下のようなシャットダウン方法が用意されています。
- Windowsを終了する
- パソコンの電源を完全に切る
それぞれどのようなシャットダウン方法か、以下に説明します。
Windowsを終了する
シャットダウン前までの動作に関するシステム情報を記憶し、Windowsを終了します。
完全に電源が切断されているわけではなく、操作状況を保持することが可能です。
この機能を高速スタートアップ機能と呼びます。
次回起動時は保存済の情報を読み込んで起動するため、起動に時間を要しません。
このシャットダウン方法の場合、通電されている状態なので、USBポートを使っての充電や給電も可能です。
パソコンの電源を完全に切る
完全なシャットダウンの場合、全ての状態を終了させて電源を切断するため、シャットダウン前の操作状況は保持されません。
次回電源投入も初期からの起動となるため、使用できる状態になるまで時間がかかります。
USBポートへの給電もなく、ノートパソコンなどの内蔵バッテリーの負担も少なくなります。
Windows8以前のシャットダウンといえば、この完全なシャットダウンのことを指していました。

パソコンをシャットダウンしないとどうなる?問題点は?
次回起動のためなど、パソコンをシャットダウンしない人も少なくありません。
多くのデバイスは起動時にもっとも負荷がかかるため、エラーが発生するリスクを抑えたいなら、シャットダウンをしないほうが良いとも考えられます。
では、パソコンをシャットダウンしないとどうなるのでしょうか?
起こり得る問題
パソコンをシャットダウンしない場合、以下のような問題が起きると考えられます。
フリーズの頻発
Windowsは、作動しながらキャッシュを作る仕組みです。
不要となったキャッシュは削除されますが、キャッシュがたまり続けることで動作を重くさせてしまいます。
複数のアプリを起動していると、一部のアプリがフリーズすることがありますが、これはキャッシュが原因となっていることもあるようです。
最新のバージョンではかなり改善されたものの、旧バージョンのWindowsはキャッシュの処理に問題があり、フリーズが頻繁に起きるなどのトラブルが発生していました。
発熱による発火
パソコンが常に通電している状態だと、発熱による発火のリスクも発生します。
電源を入れたまま外出すると発火に気付けず、火災に発展する恐れもあるでしょう。
また、近隣で落雷があった場合、雷サージなどの対応を行っていなければ、パソコンや周辺機器が故障するリスクを背負います。

パソコンをシャットダウンしないメリット・デメリット
パソコンをシャットダウンしない場合のメリット・デメリットを紹介します。

メリット
- いつでもパソコンが使用できる
常に電源の入っている状態であれば、起動時の待ち時間が必要ないため、使用したいときにすぐ使い始めることが可能です。
また、席から離れていてもパソコンの作業を継続させられます。
長時間の動画の処理などは時間がかかりますが、例えば寝ている間に完了させておくことが可能です。
- ハードディスクの負担を軽減できる
パソコンの起動時には多くのプログラムを読み込む必要があるため、ハードディスクに大きな負担をかけます。
シャットダウンしなければ、起動時のハードディスクの負担を軽減することが可能です。
- 消費電力を抑えられる
パソコンの起動時には、多くの電力を消費します。
起動時の電力は、通常のパソコン使用時の2〜3時間分に相当するようです。
シャットダウンしないまま使用したほうが、消費電力を抑えることができます。
デメリット
- 電気代がかかる
常に電源オンの状態だと通電されたままになるため、その分だけ電力を消費します。
パソコンのスペックにもよりますが、ゲーム用に使用されるようなハイエンド機器の場合は、かなりの電気代が必要になるようです。
Microsoft社は、90分を超える場合はシャットダウンの実行を推奨しています。
Windowsには節電機能のひとつとしてスリープ機能が備わっていますが、待機電力を考えると、作業停止から作業再開までの時間が90分以内である場合は、シャットダウンと起動を繰り返すよりもスリープ機能を活用したほうが良いとされています。
90分を超える場合、スリープのほうが消費電力量が高くなるため、シャットダウンしたほうが消費電力を抑えることが可能です。

引用:Microsoft Windows 7 まるわかりガイド
- パソコンに高い負荷がかかる
パソコンは電化製品であり、精密機器でもあります。
電源の入った状態だと、発生した熱が内部にこもり、CPUなどのパーツに大きな負担をかけてしまいます。
パソコン本体だけでなく周辺機器のディスプレイも同様で、以前のブラウン管モニターのような焼き付き現象は起こりませんが、電源の入った状態が続くと、ゴーストイメージと呼ばれる残像が残る場合もあります。
- 落雷時に対処できない
落雷時の対処法のひとつが、雷が鳴り始めたらシャットダウンを実行し、電源プラグを抜くことです。
しかし、電源を入れたままで不在にしている場合、落雷に対しての対処ができず、パソコンに大きな電流が流れ故障するリスクがあります。
定期的なシャットダウンは本当に必要?
パソコンのシャットダウンを行わず、通電したままの状態のほうが機械面としては理想的です。
実際に、サーバー機などの場合、メンテナンス時以外は起動したままの状態で運用を行っています。
Webサーバーなど、24時間365日体制で稼働しているサーバーは当然ですが、使用しない時間のあるサーバーでも同様で、日常的にシャットダウンを行うことはほとんどありません。
最も負荷の高い起動時のリスクを軽減させるためです。
開発を行っている企業などでは、通常のパソコンをサーバー変わりに運用することもあり、シャットダウンしないままフル稼働させています。
パソコンはサーバー用マシンとは違い、常時電源オンでの運用は想定されていないものの、機器構成によってはそのような運用も可能です。
以前のWindowsの場合、完全な連続運用は不可能でしたが、Windows10のように新しいOSであればシャットダウンしない運用も可能となっています。
しかし、まったくシャットダウン無しで運用した場合、熱や帯電などの負荷がパソコンにかかるため、パソコンを休めるために『ある程度の期間でシャットダウンを行ったほうが良い』とメーカーでも推奨されています。
参考:エキサイトニュース PCの電源は入れっぱなしでもいいの?
シャットダウンの善し悪しは、使用する状況などによっても変わってきます。
休止させる時間などを考慮し、シャットダウンするかしないか判断しましょう。
まとめ
パソコンをシャットダウンしないとどうなるか紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
家庭用のパソコンは連続稼働を想定して作られていないため、シャットダウンしないままの運用はおすすめできません。
パソコンパーツにも大きな負荷がかかり、一度シャットダウンすると起動しなくなる場合もあります。
作業がひと段落したら電源を切ることをおすすめします。
パソコンが動かなくなった場合は、内部にどのような損傷が生じているか分からないため、すぐにパソコン修理業者へ相談しましょう。
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