テレワークを導入し、在宅ワーク(在宅勤務)を推奨する企業が増えています。
自宅で在宅ワークを行うには、インターネット環境を整備しておかなければなりません。
今回は在宅ワークに必要なネット環境について、分かりやすく解説します。
目次
在宅ワーク(在宅勤務)とは
在宅ワーク(在宅勤務)とは、自宅を拠点に仕事を行うことです。
以前は個人事業主として自宅で働くことを在宅ワークと呼んでいましたが、最近では会社がテレワーク※を導入して在宅勤務する人が増えたことから、雇用・非雇用問わず、在宅で働くことを「在宅ワーク」と呼ばれているようです。
在宅ワーク(在宅勤務)に必要なネット環境
在宅ワークでインターネットを利用する場合、以下のいずれかのネット環境を整える必要があります。
- 固定回線
- 無線回線
固定回線とは
自宅にインターネット回線を取り入れ、自宅専用の固定回線として利用できる方法です。
ADSLや光回線などの種類があり、速度やデータ容量に制限がないことが特長です。
自宅で利用するインターネット回線としてはもっとも速度が速く、安定したネット環境を整えることができます。
固定回線に無線LANルーターを接続すれば、電波を送受信できる範囲でパソコンを無線で接続することが可能です。
固定回線の種類
一般的な速度の速い回線として、以下の回線があげられます。
- 光回線
- ADSL回線
光回線は光ファイバーケーブルを利用したインターネット回線で、高速で長距離伝送を行えます。
NTTが提供するフレッツ光サービスか、もしくは電力会社など独自の光回線を利用するサービスを利用できます。
2020年9月末時点の光回線の契約数は約3410万件で、国内でもっとも利用者の多い固定回線です。
参考:ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2020年9月末時点)
最近のインターネット回線の主流となっていますが、自宅に光回線を導入していない場合は、新規に光ケーブルを引き込む工事が必要になります。
ADSL回線とは、電話回線を利用したインターネット回線です。
もともと利用している電話回線を利用するため、宅内工事が不要で、プロバイダから送られてくるモデムを設定するだけで、すぐにインターネットが利用できます。
光回線が登場する前はADSL回線が爆発的に普及していましたが、現在は設備の老朽化などが原因でサービスの終了が決定しています。
新規申し込みも対応しておらず、今後は光回線への切り替えが必要になるため、新規でインターネット回線を契約する場合は、自動的に光回線となります。
無線回線とは
自宅に固定回線がない場合、無線専用のインターネット回線を契約することでネット環境を整えられます。
固定回線のような工事は一切不要で、すぐに自宅や外出先でインターネットを始められます。
無線回線の種類
無線回線は、以下の方法を利用して接続することができます。
- モバイルWi-Fiルーター
- ホームルーター
- SIMカード
モバイルWi-Fiルーターとは、Wi-Fiに対応しているパソコンやモバイル端末などを、外出先でもインターネットに接続できる小型通信機器です。
モバイルWi-Fiの無線回線を契約し、小型のWi-Fiルーターを一緒に持ち運ぶことでインターネットに接続できます。
ルーターと無線LANアクセスポイントの機能を持ち合わせており、複数台の無線LAN機器を接続してインターネットを利用することが可能です。
モバイルWi-Fiルーターは固定回線と違い、短期間からレンタルできるサービスもあるため、通信速度や安定性を事前にチェックして、どの無線回線を契約するか選ぶこともできます。
ホームルーターとは、モバイルWi-Fiルーターの据え置き型ともいえる端末が、ホームルーターです。
開通工事が不要で、コンセントに接続するだけでインターネットを利用できます。
ホームルーターはモバイル回線の通信方式を利用したWi-Fiルーターのため、わざわざ自宅に回線を引き込む必要がありません。
端末のサイズがモバイルルーターよりも大きく、その分だけ電波も安定しています。
ただし、バッテリーを搭載していないため、モバイルWi-Fiルーターのように手軽に持ち運ぶことは難しいといえます。
SIMカードとは、スマートフォンや携帯電話に挿し込まれているICカードのことで、契約者を特定するための情報が記録されています。
SIMカードには固有の識別番号が割り当てられており、端末に装着すると利用者を特定し、インターネットや電話が利用できるようになります。
SIMカード単体ではインターネットに接続できませんが、SIMカードに対応しているパソコンなどの端末に装着することで、無線通信を利用できます。
端末がSIMカードに対応していなくても、SIMカードを装着しているスマートフォンにデザリング機能が備わっていれば、スマートフォンをアクセスポイントとして無線でインターネットに接続することができます。
※子機となる端末が、Wi-FiやBluetoothなどの無線通信に対応していないと利用できません。
固定回線のメリット・デメリット
固定回線のメリット・デメリットを理解したうえで、自分の利用環境に適したネット環境を整備しましょう。
固定回線には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
- 通信速度が速い
- データ使用料が無制限
- 通信速度の制限なし
通信速度が速い
基地局から光ファイバーや電話線が物理的に優先で自宅まで接続されているため、安定した通信と快適な高速通信を利用できます。
固定回線に無線LANルーターを接続し、複数台の機器で通信を行っている場合は通信速度も低下しますが、最近では上り下り(注2※)ともに、より高速な5Gbpsや10Gbps(注1※)のサービスも提供されているので、自宅のネット環境に合わせて光回線のプランを選べます。
■注1)「Gbps」とは
インターネットの通信速度を指しており、「ギガビーピーエス」と呼びます。
「bps(ビーピーエス)」は「Bit per second」の頭文字を略した言葉で、1秒間に伝送するデータのビット数を表します。
「1bps」であれば、1秒間に1bitの情報を転送できます。
数値が大きくなると、単位も以下のように変わってきます。
「1024bps」⇒「1Kbps(キロビーピーエス)」
「1024Kbps」⇒「1Mbps(メガビーピーエス)」
「1024Mbps」⇒「1Gbps(ギガビーピーエス)」
※便宜的に「1000bps=1Kbps」、「1000Kbps=1Mbps」と表示する場合もあります。
数値が大きいほど伝送量が増えるため、1Mbpsよりも1Gbpsのほうが高速にインターネットを利用できます。
■注2)通信速度の上り下りとは
インターネット回線の速度は「上り下り」で表記されていますが、「上り」がアップロードを指しており、「下り」がダウンロードを意味します。
一般的な光回線の最大下り速度は1Gbpsですが、ベストエフォートと呼ばれる「速度に関して保証はしないが最大限の努力をする」サービスのため、実際の下り速度は1Gbps以下の場合がほとんどです。
しかし、動画の視聴でも10Mbpsあれば十分に事足るとされているため、一般的なインターネットの使用であれば、通信速度にストレスを感じることはありません。
そのため、通信速度が遅いと感じるときは、速度が10Mbps以下になっている可能性が高いといえるでしょう。
※上記の用語は、インターネット回線を調べるうえで必ず記載されている用語です。
回線を比較するうえで欠かせない用語のため、頭に入れておきましょう。
データ使用量が無制限
固定回線のデータ使用量とは光やADSL通信を利用し、パソコンからアップロードおよびダウンロードするデータ量のことを指します。
インターネットの閲覧やメールの送受信、アプリの起動などで使用した際に、データ使用量が発生します。
スマートフォンの契約プランは、定額であってもデータ使用量に上限を設けられていますが、固定回線の定額プランはデータ使用量が無制限に設定されています。
また、Wi-Fiルーターを設置していれば、接続するスマートフォンやタブレットなどもデータ使用量を気にせず利用できます。
通信速度の制限なし
回線事業者の意向で通信速度を著しく低下させることを、通信制限または帯域制限と呼びます。
固定回線の定額プランは通信使用量に制限がないため、通信速度に制限をかけられることもありません。
ただし、大量のデータの送受信を行うなど、ほかの利用者に影響を与えるほど回線に高い負荷をかけた場合は、回線事業者がその利用者に対して一時的に通信制限をかけることもあります。
スマートフォンや携帯電話などはひと月の通信量に上限があり、超過すると通信制限され低速でしか通信を行えませんが、固定回線でも上限が設定されているプランだと通信速度制限されます。
- 自宅でしか利用できない
- 開通工事費がかかる
- 解約金が発生する
自宅でしか利用できない
固定回線は契約した場所に回線を引き込むため、自宅で契約した場合は自宅でしかインターネットを利用することができません。
無線LANルーターを利用すれば無線接続することも可能ですが、ルーターの電波の範囲内しか接続できないため、自宅を離れると利用できません。
開通工事費がかかる
自宅に回線が引き込まれていない場合、新規に回線を開通するための工事が必要です。
回線事業者によっては工事費無料キャンペーンなどを行っている場合もありますが、基本的には初期費用として開通のための回線工事費を請求されます。
また、新規開通の多い時期は工事が立て込むため、混雑している場合は開通まで数週間から数カ月かかることもあります。
解約金が発生する
多くの回線事業者では所謂「契約縛り」を設けており、更新月以外で解約すると解約金が発生します。
解約金なしで解約するには更新月内に解約を申し込むしかならず、更新月を見逃すと新たな契約縛りが発生します。
また、初期工事費の無料キャンペーンを利用している場合、工事費を利用期間内で分割して毎月支払いますが、キャンペーンにより工事費の毎月の分割料金が割引されて実質無料になっているため、途中解約すると工事費の残金を請求されます。
無線回線のメリット・デメリット
無線回線のメリット・デメリットを理解したうえで、自分の利用環境に適したネット環境を整備しましょう。
- 外出先で利用できる
- 回線工事費が不要
- 契約すればすぐに利用できる
外出先で利用できる
無線回線の最大のメリットといえば、場所を問わずどこでもインターネットに無線接続できる点です。
パソコンと一緒に専用のWi-Fiルーターを持ち運んでいれば、外出先でもインターネットが利用できます。
また、Wi-Fiルーターを保有していない場合でも、スマートフォンにデザリング機能があれば、外出先でもスマートフォンの通信回線を利用してインターネットに接続することが可能です。
開通工事費が不要
無線回線は、モバイルルーターなどの接続に必要な機器のみ用意して設定すれば、すぐにインターネットが利用できます。
固定回線と違い、工事にかかる費用は発生しません。
固定回線の場合、自宅に回線を引き込んでいなければ新規に開通工事を行う必要があります。
キャンペーンなどで無料になるケースもありますが、利用期間内に解約すると工事残金と解約金を支払わなくてはなりません。
契約すればすぐに利用できる
モバイルWi-Fiルーターの場合、店舗で契約するとその場で端末を受け取り、すぐに利用を開始できます。
ネットで契約した場合は後日自宅に端末が送付されてきますので、設定をすればすぐにインターネットを利用できます。
固定回線のように工事日を予約し、開通工事を実施する必要もありません。
無線回線にもデメリットがあります。
- 通信が安定しづらい
- 速度制限がある
- 非対応エリアで利用できない
通信が安定しづらい
無線回線はLANケーブルの接続が不要なため、スッキリした環境で作業を行えますが、一方で固定回線に比べ通信が不安定になりやすいといったデメリットもあります。
固定回線の場合、自宅に直接回線が引き込まれているので速度が安定していますが、無線回線は基地局を介してインターネットに接続するため、固定回線よりも安定性が劣ります。
また、移動した場所によって通信が遅くなったり、つながりにくくなる場合もあります。
速度制限がある
無線回線の契約プランでは1カ月に利用できる通信量が決まっており、一定量を超えると通信速度が制限されてしまいます。
回線事業者によっては無制限プランに加入していても、直近の数日間の合計通信量で通信制限をかける場合もあります。
非対応エリアで利用できない
無線回線が利用できるエリアは、加入している回線事業者によって異なります。
最近では広範囲にわたって無線通信対応エリアは広まっていますが、加入している回線事業者によって利用できないエリアもあります。
契約した回線事業者の提携先のサービス提供エリアによって、利用できるエリアが大きく変わるため、加入前に確認が必要です。
在宅ワーク(在宅勤務)に必要なネット環境:まとめ
在宅ワーク(在宅勤務)に必要なネット環境について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
インターネット環境を整えるには、必要となる端末をそろえるだけでなく、インターネットに接続するための設定も必要です。
設定がうまくいかないとインターネットを利用できない場合もあるため、初心者の場合はパソコン修理業者に相談してみましょう。
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※1 2023年8月末時点 日本PCサービス株式会社調べ
※2 2021年11月時点 2万6303人調査 調査主体:日本PCサービス株式会社 調査実施機関:株式会社インテージ
情報通信技術(ICT)を活用し、時間や場所にとらわれない働き方のことです。
働く場所により、在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィスの働き方に分けられます。
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