落雷は夏だけでなく秋から冬にかけても多いため、年間を通して注意が必要です。
そこで今回は落雷の基礎知識や、雷の対策などについて解説します。
目次
雷の基礎知識
まずは雷についての基礎知識について、簡単に学びましょう。
詳しい内容は、以下のとおりです。
雷が発生しやすい時期
雷は俳句の世界で夏の季語として扱われているように、一般的に夏のイメージが強いのではないでしょうか。
雷は年中発生していますが、もっとも多い季節が7月から9月とされており、地域によって雷の発生しやすい時期は変わってきます。
湿度の高い上昇気流が上空の温度の低いところで急激に冷やされ、液化・凝固が行われることが雷の発生の原理ですが、この条件に合致すれば雷が起こりやすくなるため、地形などによって条件が異なり、落雷の発生しやすい時期が地域によって異なるのです。
そのため、太平洋側では夏に雷が多いですが、日本海側の場合は夏よりも冬のほうが多くなるようです。
雷の威力
落雷時の電圧は瞬間的ですが、3000~4500Vまで達します。
家庭用の電気の電圧が100Vなので、その30倍以上の電圧です。
あまりにも強力な電圧のため、電源を切った状態でも電気の力が建物内にまで伝わってくることも少なくありません。
故障の原因となる雷サージ
落雷によるトラブルで雷サージという言葉を耳にしますが、意味はあまりよくしらない人も多いかもしれませんね。
雷サージとは、落雷が発生したときに電源線や通信線、電気・電子機器などへ直接または間接的に加わり、瞬間的に発生する異常な過電圧および過電流のことを意味します。
簡単にいうと落雷時に発生した大きな電流ですが、その影響範囲は広く、落雷地点から数キロ先までおよぶことがあるようです。
引用:サンワサプライ株式会社 落雷によるパソコンへの被害対策
わたしたちが普段使用している電気は電線などの電気が流れる場所を通るため、絶縁している個所には伝わりません。
しかし、雷のように大きな力を持つ電気は絶縁も破壊して空気中まで伝わり、パソコン内部にまで大きな電流を流します。
雷サージの種類
雷サージには次のような種類があります。
- 誘導雷
- 逆流雷
- 直撃雷
詳しい内容については、以下で説明します。
■誘導雷
樹木や建物などに落雷した場合、放電により周囲に高い電圧が発生します。
近傍の電線や通信線にその電流が伝わり、コンセントなどから電子・電気機器に侵入する雷サージが誘導雷です。
また、雷雲と大気の放電による高電圧も誘導雷といいます。
引用:株式会社昭電 太陽光発電システムの雷害対策
■直撃雷
直撃雷とはその名のとおり、建物や電線などに雷が直撃する現象を指します。
建物の避雷針やテレビのアンテナ、電線などに直接雷が落ち、雷の電気が電線などを伝って屋内に侵入してきます。
高電圧や過電流が発生し、電子・電気機器に電流が直接伝わるため、保護することは難しいといえます。
引用:株式会社昭電 太陽光発電システムの雷害対策
■逆流雷
建物や大地などの落雷による接地電位上昇によって、引き込まれている電線や通信線などに電流が逆流してくる現象を逆電流といいます。
引用:株式会社昭電 太陽光発電システムの雷害対策
雷サージによる被害
雷サージが発生すると異常な過大電流を引き起こし、電線や通信線を伝い、パソコンや周辺機器などに流れ、内部パーツの破損や発火などの被害を与えます。
数十メートル先に落ちた落雷で、電源を切っていたパソコンの電源ユニットやディスプレイが故障するなどの被害も起きているようです。
パソコンの中でも落雷で特に壊れやすいのが電源部や通信線に近い箇所で、電源ユニットやディスプレイ、グラフィックボードやLANポート、ONUやモデム、ルーターなどがあげられます。
雷が鳴る前に!事前にできる対策
雷サージによる被害を防ぐには、落雷のときだけでなく普段から対策を講じる必要があります。
いざというときに備えられるよう、以下の手順を実行して事前対策を強化しましょう。
詳しい内容について、以下で説明します。
定期的にバックアップを実行する
落雷のトラブルはハードディスクへ影響を与えることもあり、ディスクが破損する恐れがあります。
パソコンや周辺機器などはいくらでも買い替えられますが、消失したデータは二度と取り戻せません。
写真や動画などの大切なデータや復旧が難しいデータなどは、定期的にバックアップを実行しましょう。
雷サージは同じ建物内のすべての電子機器に被害が及ぶため、外付けハードディスクを破損する可能性があります。
クラウドストレージやUSBメモリなどにバックアップを行うことで、より安全性を高められます。
こまめに電源プラグをコンセントから抜く
雷サージさえ伝わってこなければ、パソコンも被害を受けません。
一般的に雷サージは家庭内の電気の配線を通り、電源ケーブルを伝わってパソコン内部に侵入するとされています。
雷サージは電源のオンオフ関係なく伝わってくるので、電源ケーブルをコンセントから抜いておくことで対処できます。
パソコンを使用しない場合はこまめに電源プラグをコンセントから抜くよう、習慣づけておきましょう。
無線LANを活用する
雷サージは電源ケーブルを伝わってパソコン内部に侵入しますが、LANケーブルからも侵入します。
LANケーブルから雷サージが伝わり、パソコンやルーターが故障したという例も少なくありません。
LANケーブルを外すことも対策のひとつですが、無線LAN接続を活用するとLANケーブルによる雷サージの被害が避けられます。
雷サージ対応の電源タップに変える
パソコンを使用する場合、コンセントに直接電源ケーブルを差し込むか、もしくは電源タップを利用する人も多いかと思われます。
さまざまな種類が販売されていますが、その中には雷サージに対応している電源タップもあります。
雷サージ対応といえども直撃雷は避けられませんが、それ以外であれば雷サージの過大電圧を減圧し、パソコンや周辺機器を保護することが可能です。
雷サージ非対応の製品と大きく価格差がないため、かなりコストパフォーマンスが高い対策といえるでしょう。
無停電電源装置(UPS)を導入する
無停電電源装置(UPS)※は製品ごとで違いはありますが、電圧低下や過大電圧をコントロールする機能が搭載している製品もあります。
過大電圧をコントロールできる無停電電源装置を事前に用意しておけば、雷サージ対策として使用できます。
※無停電電源装置(UPS)とは
無停電電源装置は停電時など電力の供給が不可となった場合に、電力を供給しパソコンやサーバーなどの機器を安全にシャットダウンさせるための機器です。
USBで接続し、自動でシャットダウンを実行する無停電電源装置もあります。
雷が鳴り始めたらすぐに実行すべき対処法
雷の音が聞こえ始めたらパソコンへの被害を防ぐために、すぐに次の対処を順に行いましょう。
詳しい内容については、以下で説明します。
作業中のデータを保存する
落雷で雷サージを受けるとパソコンが故障する恐れもあり、使用中のファイルをすべて破損するかもしれません。
雷が鳴り出したらすぐにパソコンの操作を中止し、作業中のデータを保存するようにしましょう。
外付けハードディスクは雷の被害を受ける可能性があるため、クラウド上やUSBメモリなど被害を受けないストレージにデータを保存しましょう。
パソコンをシャットダウンする
作業中のデータを保存したら、実行中のアプリを終了させてパソコンをシャットダウンします。
強制終了を行うとファイルを破損する可能性があるため、必ず通常どおりシャットダウンを実行しましょう。
電源プラグをコンセントから抜く
パソコンをシャットダウンしたら、次は電源プラグをコンセントから抜きます。
電源サージは電源線を伝って侵入するため、電源プラグを抜くのがもっとも確実で簡単な対策です。
パソコンだけでなく、周辺機器の電源プラグもすべて抜きましょう。
ケーブルをすべて取り外す
時間に余裕があればコンセントを抜いたあとに、パソコンに接続しているすべてのケーブルを外します。
雷サージは電源線だけでなく通信線からも侵入するため、通信機器を経由して電流が侵入することが考えられます。
パソコンと通信機器を接続しているLANケーブル、電話回線を使用している場合はモジュラーケーブルを取り外します。
テレビチューナー機能を搭載しているパソコンでは、アンテナ線から雷サージが侵入する可能性があるため、アンテナケーブルを取り外しましょう。
プリンタや外付けハードディスクなど周辺機器からも影響を受けるため、周辺機器とパソコンをつなぐケーブルもすべて取り外します。
※周辺機器や通信機器が電源線と接続されていない場合は、ケーブルを取り外す必要はありません。
しかし、パソコン周辺のケーブル類は配線が煩雑になっていることが多いため、急いでいるときはどの機器とパソコンがつながっているか確認に手間取ります。
パソコン側に接続されているケーブル類をすべて取り外すのが、一番手っ取り早く確実な対処法といえます。
雷サージ対応の電源タップを利用している場合、上記で紹介した対処は必要ないように思えますが、確実にパソコンを保護できるとはいいきれません。
また、雷による突然の停電が発生することも考えられますので、雷が鳴り始めたらパソコンをシャットダウンさせてコンセントを抜き、ケーブルを取り外して雷に備えましょう。
落雷によるパソコンへの影響
落雷による雷サージは、パソコンに次のような影響を与えます。
詳しい内容は、以下で説明します。
パソコンが起動しない
落雷によりパソコンのマザーボードや電源ユニット、CPUやメモリなど、パソコン内部に大きなダメージを受けると、パソコンが起動しなくなる可能性があります。
パソコンが全く起動しない場合は、どこに影響を受けているか判断も難しくなります。
インターネットに接続できない
落雷は、パソコン本体だけでなく周辺機器にまで影響を与えます。
そのため、モデムやONU、ルーターなどがトラブルを起こし、インターネットに接続できなくなることが考えられます。
有線LAN接続の場合は、LANケーブルやLANアダプタなどに影響を与える可能性があります。
まとめ
近隣で落雷があった場合、すぐにパソコンの雷対策を行うことが必要です。
直撃でなくても誘導雷により、パソコンや周辺機器にダメージを与えることが考えられます。
仕事で家を空けていたり、しばらく留守にする予定がある場合は、落雷の被害を受けないために通信線や電源線からすべてケーブル類を抜いておくようにしましょう。
もしもパソコンが落雷による被害を受けた場合は、早急にパソコン修理業者へ修理を依頼しなくてはなりません。
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雷の電気のパワーは大木を真っ二つに引き裂くほどの強さで、落雷時には瞬間的に3000~4500Vもの高電圧が流れるといわれおり、落雷は電線などを伝わり、家電製品やパソコン、周辺機器などに大きな影響を与えることがあります。