一度パソコンがショートすると何をしても電源が入らなくなるケースが多いため、なるべくパソコンはショートさせないように普段から気を付けなくてはなりません。
今回はパソコンがショートする原因と対策を、簡単に分かりやすく解説します。
目次
パソコンがショートを起こす原因とは?
精密電子機器であるパソコンは、ほんの些細なことが原因でショートを引き起こします。
わずかな水や埃が原因でショートを起こし、そのまま壊れてしまうことも少なくありません。
パソコンがショートすると内部パーツが破損する、作業中のデータが消失する可能性もあります。
水濡れ
パソコンを操作する際に、近くに飲み物を置いている人も多いのではないでしょうか。
パソコンは精密電子機器のため、水分は厳禁です。
万が一パソコンに水分をこぼしてしまった場合、通電してショートする恐れがあります。
お茶や水ならまだしも、糖分や塩分の含まれた飲み物をこぼすと、さらに状態は悪化します。
内部にまで糖分や塩分が浸透するため、パソコンの乾燥やクリーニングを十分におこなったとしても、成分が残る可能性があります。
内部に糖分や塩分が残っていると、それが原因で金属が腐食してパソコンの基盤を傷めるため、完全にパソコンが壊れることもあります。
静電気
パソコン内部は埃が溜まりやすく、溜まった埃が静電気を発生させることもあります。
静電気は数千ボルトの高い電圧に達することもあるため、パソコン内部には静電気が溜まらないよう注意が必要です。
一方、人間も衣類などによって静電気が帯電しやすく、そのままの状態でパソコンの信号接続部分(USBポートなど)に接触すると静電気が回路部分に伝わり、内部のパーツがショートを起こすこともあります。
外見には症状が表れないため、一見するとショートしているように見えませんが、電源が急に入らなくなるなどの故障を引き起こします。
また、自作でパソコンを組み立てる場合、冬場は静電気が起きやすいため、パーツと手が触れた瞬間に静電気が発生し、パーツを破損する恐れもあります。
内部の埃によるもの
パソコンには、CPUやハードディスクなどを冷却するために、ファンが取り付けられています。
ファンが空気を取り込むことで一緒に埃まで吸い込んでしまうため、パソコン内部は埃が溜まりやすいです。
埃が溜まると通電しやすくなり、流れてはいけない回路に電気が流れてしまったり、場合によっては引火してパソコンをショートさせます。
ファンそのものにも埃が付着してしまい、冷却機能が落ちることで埃が引火しやすくなります。
また、梅雨時期は埃が水分を含み、それがパーツや回路に接触してショートしてしまうこともあります。
ケーブルの配線ミス
メーカー製のパソコンではあり得ないことですが、自作でパソコンを組み立てた場合、配線ミスを起こしてしまうことがあります。
誤った配線のまま電源を入れると、ショートしてマザーボードが破損することもあり、交換が必要になります。
USB端子の破損
USBメモリなどのUSB機器を抜き差しすることの多いUSB端子ですが、特にノートパソコンの場合、抜き忘れたまま移動しようとして、机やテーブルにぶつけて壊してしまうケースも少なくありません。
USB端子には5Vの電圧がかかっているため、壊れた状態で放置しているとパソコンがショートする可能性もあります。
また、壊れたUSB端子にそのままUSB機器やUSBケーブルを差し込むと、パソコンが音を立てショートすることもあります。
電源ユニットによる不具合
電源ユニットはとても消耗しやすく、定期的に交換すべきパーツです。
経年劣化により、ある日突然パソコンのショートが起こることがあります。
- 長期間使用の劣化により、内部のコンデンサー(※)が膨張して熱を持ち、爆発を起こす
- 電源ユニットに埃やゴミが入る
- 電源ユニットの総出力以上の電力を長時間使用していると、電源ユニットに負荷がかかりすぎてしまう
電気を一時的に蓄えたり放出するパーツで、パソコンに限らず電子回路では必ず使用するといっていいほど、電子機器に欠かせません。小規模な充電池のようなもので、電源ユニットの出力が低下したとき、コンデンサーの蓄電で出力低下を防ぎます。直流を通さないよう、絶縁する働きも伴っています。
電源ユニットとは
電源ユニットとは、交流(AC)電源を直流(DC)電源に変換するためのパーツです。
デスクトップパソコンの場合、本体内部に変換装置の電源ユニットが内蔵されています。
ノートパソコンではACアダプタが電源ユニットの役割を担っており、外部電源として扱われます。
電気には直流(DC)と交流(AC)があり、直流電源は乾電池やバッテリーが、コンセントから供給される電源が交流電源にあたります。
電気製品の多くは直流電源で動くように設計されていますが、家庭やオフィスは交流電源が供給されているため、コンセントにつないで交流を直流に変換して使用するように設計されています。
機械の内部で変換する電気製品もあれば、ACアダプタを通じて変換する電気製品もあります。
代表的な例がノートパソコンで、ACアダプタが交流から直流へ変換することで、電気を供給しています。
コンセントから供給されている電気は、ほかの電気製品を使うと電源出力に変動が起きるため、常に安定しているわけではありません。
パソコンの電源ユニットはこのような出力変動の影響を吸収し、安定した電力を供給する働きもしています。
マザーボードの不具合
マザーボードは電源ユニットと同じく、埃やゴミがたまりやすくなっています。
たまった埃がパーツに接触することで引火し、ショートを起こすことも少なくありません。
ショート時に異常電流が流れてしまうと、マザーボードそのものが破損する可能性もあります。
また、経年劣化したパーツが原因で、パソコンがショートすることもあります。
たとえば古くなったコンデンサーが膨張・破裂すると液漏れを起こし、それが原因でパソコンのショートにつながります。
マザーボードはさまざまなパーツが集まっているため、マザーボード内でショートを起こした場合、初心者では原因が特定しづらいです。
マザーボードとは?
マザーボードとは、メインボードとも呼ばれる電子回路基板のことで、CPUやメモリ、ハードディスクなど、パソコンを構成するためのパーツを組み合わせる板を指します。
パソコンの土台で、パソコンの中心となる基盤です。
PCパーツはそれぞれ機能や役割が異なり、相互に通信する回路や電源供給が必要になります。
マザーボードにはさまざまなパーツや回路が張り巡らされており、各PCパーツを接続することでパソコンを稼働したり、機能を追加できます。
パソコンがショートしたときの対処法
パソコンがショートした場合、パソコンの電源が切れているかどうかで対処法が変わるため、それぞれ以下で紹介します。
ただしここで紹介するのは、あくまでこれ以上被害を広げないための対処法であるため、下記の手順をおこなったあとは直ちにパソコン修理業者に依頼しましょう。
電源が切れている場合
ショートしてパソコンの電源が切れてしまったなら、他の回路へのショートを防ぐため、すぐにパソコンの電源コードをコンセントから抜きましょう。
周辺機器の接続もすべて取り外し、ノートパソコンの場合はバッテリーも取り外してください。
電源が入っている場合
すぐにデータを保存し、シャットダウンを実行します。
電源コードを抜き、周辺機器の接続をすべて取り外してください。
ノートパソコンの場合は、バッテリーを取り外すことを忘れないようにしましょう。
水濡れが原因の場合
水濡れでショートした場合も電源をすぐに切り、水分を拭き取ってください。
ノートパソコンであれば、被害拡大防止のため、その後すぐにひっくり返しましょう。
パソコン内部の基盤の大事な部分まで、水分が届いていない可能性もあります。
また、ショートしても電源が切れていない場合、水分を拭いてシャットダウンしたからといって、しばらくしてすぐに電源を入れるのは絶対にNGです。
パソコン内部の水分が乾ききっていないと、電源を入れた途端に通電してしまい、さらに状態が悪化することも考えられます。
パソコンをショートさせない4つの対策
使い方やお手入れに気を付けるだけでショートが発生する可能性があります。
定期的にクリーニングをおこなう
パソコン内部に埃が入り込むことで、ショートとなる原因を引き起こします。
デスクトップパソコンであればサイドパネルを外し、内部の埃を取るなど定期的にクリーニングしてあげましょう。
ノートパソコンの場合、掃除機を使って排気や吸気部分から埃を吸い取れます。
初心者であれば無理をせず、パソコン修理業者などにクリーニングを依頼するようにしましょう。
水濡れを防ぐ
▼水分を近づけない
基本的にパソコンの横には水分を置かないようにします。
飲み物を置く場合はペットボトルなどのフタ付きのものを選び、飲む都度フタを開け閉めして、水分が漏れないようにしましょう。
また、室内は乾燥しやすいからといって、加湿器を近くに置くこともNGです。
▼防水グッズを活用する
最近ではパソコンや周辺機器の防水グッズが販売されており、水濡れを避けるために活用できます。
ノートパソコンの場合、キーボード部分から浸水することが多いため、キーボード用の防水シートを貼るなどの工夫をしましょう。
パソコンを氷で冷やさない
パソコンが熱暴走しているときに早く冷やそうと思い、氷を使って冷やすのはNGです。
氷が溶けて水滴がパソコン内部に入り込み、ショートする恐れがあります。
たとえ水滴が入らないように対策しても、パソコンを直接冷やすと内部の金属に結露が生じ、それがショートの原因になります。
パソコンを冷やす場合は、空調を下げる、空気を循環させるなどの調整をしましょう。
静電気を発生させない
冬場になると静電気が発生しやすくなるため、以下のような予防対策が必要です。
静電気防止方法 | 詳細 |
---|---|
パソコンをさわる前に手を湿らせる | 静電気は乾燥した状態を好むため、パソコンにさわる前は手を洗う、保湿クリームを塗るなど対策をとりましょう。 |
埃を寄せ付けない | 静電気は埃を寄せ付ける性質が、埃には静電気を起こさせる性質があります。 そのため、普段から埃を寄せ付けないよう、机の上やパソコン周辺をこまめに掃除することも必要です。 |
化学繊維の衣類は着用しない | 冬場の衣類はアクリルやナイロンなどの化繊を使用していることが多く、静電気を帯びやすくなっています。 静電気防止用の洗剤を利用する、天然素材の衣類を着るなど工夫しましょう。 |
静電気除去グッズを活用する | 静電気除去シートやキーホルダーなど、最近では静電気を除去するグッズも数多く販売しています。 パソコンをさわる前に使用することで、静電気を予防することが可能です。 |
室温調整する
パソコンは暑さが苦手ですが、実は寒さも苦手です。
パソコンは高温だと熱暴走などを引き起こすリスクがありますが、低温すぎても内部のパーツに負荷がかかる、動作が不安定になることもあります。
パソコンを使用する場合、室温は20~25℃が適温とされています。
同じようにパソコン自体にも適温があり、パソコン本体が30~40℃、CPUが40~75℃、ハードディスクが30~50℃とされています。
メーカーによっては推奨温度が異なることもあるため、事前に確認したうえで温度を整えるようにしましょう。
まとめ
パソコンがショートしてしまった場合、パソコンを自作で組むほどの上級者でなければ、すぐにパソコン修理業者に依頼しましょう。
パソコン博士の知恵袋はパソコン修理業者大手(上場企業)の PCホスピタル(累計サポート実績200万件以上 ※1、利用率No.1 ※2)をおすすめしています。 電話対応も丁寧で、お住まいの地域(全国対応)に応じたパソコン修理サービスを提案してくれます。
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※1 2023年8月末時点 日本PCサービス株式会社調べ
※2 2021年11月時点 2万6303人調査 調査主体:日本PCサービス株式会社 調査実施機関:株式会社インテージ
パソコンを使っているときに突然「パチッ」や「パシッ」などの音がして、そのまま動かなくなることがあります。