パソコンの時計は、ファイルへのアクセス日時の記録などさまざま場面で使用されるため、正しい時間でないと困ることもあります。
今回は、パソコンの時計がずれてしまう原因とその対処法について解説します。
目次
パソコンの時計・時刻がずれる原因
パソコンの時計がずれてしまうのは、次のような原因が主に考えられます。
詳しい内容について、以下で説明します。
タイムサーバーの同期エラー
パソコンの初期設定では、タイムサーバー(※)にアクセスして同期処理を行い、正確な時刻を表示するよう設定されています。
タイムサーバーで時間を調整することから、パソコンの時計はそれほど精度が高くありません。
タイムサーバーへのアクセスや同期が失敗すると、時刻を取得できず少しずつパソコンの時計はずれてきます。
また、インターネット環境が整っていなかったり、タイムサーバーに同期する時刻にパソコンの電源が切断されていたりすると、徐々にパソコンの時刻がずれてしまい、同期処理に失敗する可能性もあります。
タイムサーバーはNTPサーバーの別名で、時刻サーバーとも呼ばれています。NTPサーバーは「Network Time Protocol server」を略した言葉で、インターネット上で現在時刻を配信・取得しているサーバーを指します。
パソコンとサーバーで時刻情報をやりとりする際に、NTPという通信プロトコロルを使用してサーバー間での時刻同期や、パソコンの内部時計を設定することが可能です。
Windowsの初期設定では「time.windows.com」がタイムサーバーとして設定されていますが、ほかのNTPサーバーを設定しても問題ありません。
日本の代表的なNTPサーバーとしては「ntp.nict.jp」があり、公式サイトで自分のパソコンの内蔵時計の時刻を確認することができます。
パソコンの設定の誤り
Windows10では日付と時刻に関する設定が可能で、時刻の自動設定やパソコンのタイムゾーン設定などが行えます。
タイムゾーンとは世界各国の地域の標準時を設定し、時計の時刻を変更する機能ですが、この設定が間違えていると、タイムサーバーから時刻を取得しても現在の場所と異なる時刻が表示されてしまいます。
また、時刻の自動設定機能をオフに設定している場合も、タイムサーバーにアクセスしないため時計がずれる現象が発生するようです。
CMOS電池切れ
パソコンのマザーボードには、時計やBIOSの設定を維持するため、CMOS電池(※)といわれる電池が内蔵されています。
CMOS電池が切れていてもパソコンは起動しますが、時刻やBIOSの設定情報が消去されるため、時計もずれてしまいます。
BIOSも初期化されてしまうため、再設定を行わなくてはなりません。
そのため、電源をオフにしたりコンセントから電源プラグを抜く行為や、電池切れには注意しましょう。
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)電池はマザーボードに設置されている電池で、BIOSの設定や時刻などを保持するために必要な電池です。CMOSメモリに電源を供給することから、CMOS電池やCMOSバッテリーなどと呼ばれています。
パソコンによって使用するCMOS電池は異なり、デスクトップパソコンでは一次電池という使い切りの電池を使用しますが、ノートパソコンの場合は二次電池という充電式の電池を使用します。
デスクトップパソコンで使用するCMOS電池は比較的簡単に交換することが可能ですが、ノートパソコンの場合は分解そのものが難しいため、簡単に交換することができません。
▼デスクトップパソコンのCMOS電池
マザーボードの不具合
タイムサーバーへのアクセスが可能でCMOS電池の状態にも問題がない場合、マザーボードに不具合が起きているのかもしれません。
内部の配線に断線などの問題が生じると、電力の供給を行うことができなくなり、CMOS電池が切れたときと同じような現象が発生します。
原因がマザーボードにある場合、現在の症状が時計のずれだけであるとしても、ほかにさまざまな不具合を引き起こす可能性が高いため早急に対処する必要があります。
Windowsの不具合
時刻の情報を保持するのはマザーボードであっても、そのデータを処理するのはWindowsであるため、Windowsに不具合が発生すると、時計がずれる現象が起きます。
自分では対処できないため、更新プログラムが提供されるのを待つしかありません。
パソコンの時計・時刻がずれることで起き得るPCトラブル
パソコンの時計がずれてしまうとパソコンにさまざまな影響を与え、次のような問題を引き起こす可能性があります。
- Windows Updateが実行できない
- パソコンの動作に影響を与える
- インターネットの使用に影響を与える
- セキュリティにトラブルが発生する
- メールの送受信ができない
詳しい内容について、以下に説明します。
Windows Updateが実行できない
パソコンの時計が大きくずれすぎると、Windows Updateが実行できないことがあるようです。
時計がずれている原因がタイムサーバーの同期エラーである場合はWindows Updateが実行できないため、ほかのタイムサーバーに切り替えて同期を試す必要があります。
また、手動で設定して時刻を合わせることで、Windows Updateを実行できるようになる場合もあるようです。
パソコンの動作に影響を与える
パソコンの時計のずれは、わずかな誤差であればそれほど問題は生じませんが、日時が大きくずれてしまうと動作に影響を与えます。
- テレビ機能が搭載されている場合:録画予約ができない、意図せぬ番組を録画してしまう
- システムの復元をする場合:必要となる復元ポイントが複数ある場合は、最新の復元ポイントが判断できず、復元に影響を与える
- 使用しているアプリのライセンス認証を行っている場合:日時によってはライセンスが切れていると判断され、使用不能になったり再認証が必要になる
インターネットの使用に影響を与える
日時がずれると、インターネットの使用にも影響を与えます。
最近のWEBサイトはSSL化が進んでおり、通信にはSSL証明書が必要となるケースも少なくありません。
SSL証明書には有効期限が設定されているため、日時がずれていると有効期限切れとみなされ、エラーを発生させることがあります。
URLがHTTPSで始まるサイトなどは、接続できなくなります。
セキュリティにトラブルが発生する
時計のずれにより、パソコンのセキュリティに問題が生じる可能性もあります。
ダウンロードが完了しているセキュリティソフトの更新データは使用可能ですが、新たにダウンロードを実行すると使用期限切れになり、最新の更新ファイルをダウンロードできなくなる危険性があります。
また、セキュリティソフトのライセンスの期限切れとなることも考えられます。
メールの送受信ができない
メールのタイムスタンプはパソコンの内蔵時計を使用するため、日時が大幅にずれていると送信先のメールサーバー上で迷惑メールとして処理される場合があります。
また、タイムスタンプに問題のあるメールは、SSLを利用したメールの送受信ができなくなります。
パソコンの時計・時刻がずれる場合の対処法
パソコンの時計がずれてしまった場合は、次の対処法を試してください。
詳しい手順については、以下で説明します。(Windows10を参考に紹介します)
時計を手動で設定する
パソコンの時計が大きくずれているとタイムサーバーと同期ができないため、まずは手動で設定を行い、それから同期設定を行いましょう。
時刻を自動設定する
時計のずれにそれほど誤差がない場合は、インターネット経由で日時の自動設定を行うことができます。
タイムサーバーと同期する
すぐにタイムサーバーと同期したい場合は、次の手順を実行してください。
タイムサーバーを変更する
タイムサーバーと同期を実行してもエラーになる場合、タイムサーバーを変更することで改善されることもあります。
まとめ
パソコンの時計がずれる原因が、内蔵電池切れやマザーボードの不具合などパソコン内部の問題だった場合、初心者では対応することが難しいといえます。
今回の記事で紹介した対応法を試しても改善されない場合は、一度パソコン修理業者に診断してもらったほうが良いでしょう。
パソコン博士の知恵袋はパソコン修理業者大手(上場企業)の PCホスピタル(累計サポート実績200万件以上 ※1、利用率No.1 ※2)をおすすめしています。 電話対応も丁寧で、お住まいの地域(全国対応)に応じたパソコン修理サービスを提案してくれます。
PCホスピタルは大切なデータを保護(復元も可能)した上でパソコン修理をおこなってくれます。「再起動を繰り返す」、「シャットダウンできない」、「電源が入らない」などのPCトラブルもすぐに行ってくれます。PCホスピタルは東京や大阪、名古屋、福岡など大都市以外の地方都市にも店舗があり、即日対応可能です
※1 2023年8月末時点 日本PCサービス株式会社調べ
※2 2021年11月時点 2万6303人調査 調査主体:日本PCサービス株式会社 調査実施機関:株式会社インテージ
パソコンには時計機能が搭載されていますが、気が付くと時間がずれる現象が発生していることはないでしょうか。