パソコンに電気がたまることを「帯電」と呼びますが、今回はこの「帯電」が起きる原因と、帯電によるトラブルが発生した場合の対処法などについて、分かりやすく解説します。
目次
パソコンの帯電とは
帯電とは、物体に電気が帯びている現象です。パソコン内部に電気がたまる現象のことも同じように帯電といいます。
パソコンは電子機器のため、普段どおり使用していても必ず内部に帯電が発生します。
パソコンの電源ユニットには、安定した電力を供給するために電気を溜め込むコンデンサという部品が搭載されています。
パソコンを長時間使用しているとコンデンサの配線や周辺に電気がたまり、帯電を引き起こします。
また、電源を切断していても、電源ケーブルに接続したままだとコンデンサに電気がたまるため、パソコンのシャットダウン後に帯電が起きることもあります。
コンデンサとは、電気を一時的に蓄えたり放出したりするパーツです。
パソコンに限らず電子回路では必ず使用するといっていいほど、電子機器に欠かせません。
小規模な充電池のようなもので、電源ユニットの出力が低下したとき、コンデンサの蓄電により出力低下を防ぐ役割をもちます。直流を通さないよう、絶縁する働きも伴っています。
帯電が発生することによるパソコントラブル
パソコンに電気がたまって帯電が発生した場合、パソコンラブルが発生する可能性があります。
- 突然パソコンが落ちる
- 画面が真っ暗になり、フリーズする
- 画面にノイズが発生する
- キーボード・マウスが効かなくなる
突然パソコンが落ちる
パソコンが帯電すると、熱暴走を起こしやすくなり、パソコン内部に過剰な電気が流れて制御できなくなって、突然電源が落ちる現象が発生します。
通常はCPUや本体に取り付けられたファンによって冷却されますが、高い負荷をかけてパソコンを使用している場合、ファンの冷却だけでは追い付かず、パソコンパーツにどんどん熱がたまり高温になっていきます。
パーツが熱を持つと自身の熱で溶けたり発火したりする恐れがあることから、一定の温度に達すると保護回路が働き、強制的にシャットダウンが実行されます。
画面が真っ暗になり、フリーズする
パソコンに電気が溜まると、画面が真っ暗になってしまい、フリーズしまうことがあります。
電源は点灯しているのに画面には何も表示されておらず、カーソルだけ表示されるなどのパソコンがフリーズしてしまい、操作ができなくなります。
画面にノイズが発生する
パソコンに帯電が発生すると、画面にノイズやチラつきが発生することもあります。
パソコンの画面はパソコンの出力により表示されますが、パソコンに問題が起きていると画面に対して出力の正常な指示ができなくなり、ノイズやチラつきが発生するのです。
パソコン側に問題が起きているため、ほかのディスプレイに変更してみても同じ現象が起きます。
キーボード・マウスが効かなくなる
パソコンの帯電は、パソコンや周辺機器の動作に問題を起こす場合もあります。
パソコンの処理に異常に時間がかかったり、キーボードやマウスが効かないなど動作がおかしくなってしまいます。
パソコンが帯電する主な原因
パソコン内部に電気が溜まり、帯電を起こしてしまう主な原因は以下のとおりです。
- パソコン内部の埃や汚れ
- パソコンの長時間使用
- 電源ケーブルの長時間接続
パソコン内部の埃や汚れ
パソコンをメンテナンスせずに長期間使用し続けると、内部に大量の埃やゴミが溜まります。
内部に溜まった埃や汚れはパソコンの冷却機能の妨げになり、熱をこもらせてしまう原因になります。
また、吸排気口に埃やゴミが溜まると放熱効果を下げてしまいます。
冷却ファンに埃がたまると回転を下げてしまうため、電源の冷却効果が弱まり、帯電が発生しやすくなるのです。
パソコンの長時間使用
パソコンを長時間使用するとパソコン内部に不要な電気が溜まり、帯電する場合があります。
パソコンに処理を与え続けるとCPUやメモリ、マザーボードやハードディスクなど内部のパーツに高い負荷がかかり、発熱量が大きくなることで帯電を引き起こします。
電源ケーブルの長時間接続
パソコンをシャットダウンしたあとも電源ケーブルにつないだままにしていると、帯電を起こす原因になります。
パソコンは電源を切断してもコンセントから電力が供給されるため、少しずつ内部に電気が溜まり、帯電を起こすこともあります。
パソコンが帯電した場合の対処法(デスクトップ・ノートパソコン共通)
帯電が発生した場合、パソコンを放電することでトラブルを解決できる場合があります。
- パソコンをシャットダウンする
- 電源を抜く
※デスクトップパソコンとノートパソコンの対応方法は基本的に同じです
それぞれの放電方法をお伝えします。
パソコンをシャットダウンする
まずはパソコンに溜まった熱を取り除くため、シャットダウンを行います。また、放電を目的としたシャットダウンは通常のシャットダウンとは異なります。
- パソコンに触る前に木製のテーブルや壁などにふれ、自分の体にたまった静電気を除去します。
- Windowsロゴをクリックし、「電源」アイコンを右クリックします。
- 表示された一覧の中から、「シャットダウン」をクリックしてパソコンを終了させます。
電源を抜いて、放電する
放電させるためには、すべての接続を外さなければなりません。
- 電源ケーブルやディスプレイケーブル、USBメモリやセットしているDVDなど、接続している周辺機器をすべて取り外し、そのまま90秒以上放置します。
- 電源ケーブルとディスプレイケーブル、キーボードとマウスを接続し、パソコンの電源を入れて異常がなければ完了です。
※ノートパソコンの場合、ACアダプタとバッテリを取り外します。
パソコンの機種によって放電方法は異なるため、各メーカーの公式サイトを参照ください。
パソコンの帯電対策4選
パソコンが帯電すると、パソコンにさまざまなトラブルを引き起こしてしまうため、普段から帯電を発生させないよう対策が必要です。
- 湿度を調整する
- .パソコン周辺を整理する
- パソコンの設置場所を変える
- パソコンをクリーニングする
湿度を調整する
室内の空気が乾燥していると、静電気が発生しやすくなります。
静電気が発生するとパソコン内部にも電気がたまりやすくなるため、室温を適度に保つことが大切です。
冬場は空気が乾燥しやすく、暖房を利用することで乾燥しやすくなっています。
一般的に静電気は気温が25度以下で湿度が20パーセント以下になると発生しやすくなるといわれています。
パソコンの動作に適した湿度は20~80パーセントですが、帯電させないよう室内は50パーセント以上の湿度を保つのが理想的です。
パソコン周辺を整理する
パソコン周辺にモノがあふれていると、吸排気口の空気の流れを止めてしまい、帯電を起こす原因となります。
放熱できるスキマを作り、すぐに清掃して埃を取り除けるよう、パソコン周辺をキレイに整理しておきましょう。
パソコンの設置場所を変える
パソコンの下にモノを置いたり、強い日差しが当たる場所での使用は、帯電を引き起こす原因となります。
直射日光の当たらない涼しい場所へパソコンを移動させる、冷却パッドを使用するなどの工夫が必要です。
パソコンの利用環境が整った場所に移動させた場合、すぐに電源を入れずにしばらく放置しておきましょう。
パソコンが帯電していることが考えられるため、1時間程度冷却して起動することをおすすめします。
パソコンをクリーニングする
パソコン内部はファンが常に空気を外部から取り入れているため、埃やゴミがすぐにたまります。
パソコンには放熱を目的として筐体にスリットが開けられており、スリットから排熱を行いますが、スリットに汚れやごみが詰まってしまうと静電気が発生しやすくなります。
- デスクトップパソコンの場合
パソコンの電源が切断されていることを確認し、サイドパネルを外して静電気の原因となる内部の埃を取り除きます。 - ノートパソコンの場合
掃除機を使い、吸排気口から埃を吸い取ります。
クリーニングはパソコンのカバーを開けて行いますが、掃除機や雑巾、ティッシュなどの水分を含んだグッズで掃除を行う行為は厳禁です。
パソコン内部に水分を含ませるとショートが発生し、マザーボードが破損する恐れがあるため、エアダスターなどでほこりを吹き飛ばします。
メーカーによってはエアダスターを推奨していない場合もあるため、事前に公式サイトや製品マニュアルなどで確認が必要です。
アルコールで拭き取る方法もありますが、一般的なアルコールには水分が含まれているため、使用する前に表示成分のチェックが必要です。
無水アルコールと呼ばれる、水分の含まれないものを使用してください。
初心者の場合は無理をせず、パソコン修理業者などにクリーニングを依頼するようにしましょう。
パソコンの帯電対策4選:まとめ
パソコンに帯電が起きる原因や、その対処法などについてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
帯電は、パソコンを使用している限り必ず起きる現象です。
パソコンに異常が起きた場合、まずは帯電を疑い、上記で紹介した放電を行ってみましょう。
それでも問題が改善しない場合は、パソコン内部に不具合が発生していることが考えられるため、一度パソコン修理業者へ診断してもらうことをおすすめします。
パソコンの不具合・故障によって修理を検討している場合は、パソコン修理業者へ依頼しましょう。
修理期間・修理の技術・修理費用などの観点から考えると修理業者にパソコン修理を依頼することが一番確実で信頼できます。
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パソコンを使用している際に突然電源が落ちたり、もしくは起動しなくなるなどのトラブルが発生した場合、パソコン内部に電気がたまっているのかもしれません。